触れることで、近づく距離
体験型展示エリア、笑い声の戻る場所
「ね、発掘体験やろうよ」
澪の声は、さっきより明るかった。
化石発掘体験エリア。
観光客や学生でにぎわう、博物館の中でも特別な場所。
ヘルメットをかぶり、ハンマーを持つ。
「なんか、冒険者みたいだな」
蒼が言うと、澪は笑った。
触れる建築、参加する博物館
福井県立恐竜博物館の特徴は、
見るだけじゃない展示。
実際に触れ、体験し、考える。
「建築もさ、
人を動かすようにできてるんだね」
蒼の言葉に、澪は頷いた。
「うん。
だから、ここは生きてる博物館なんだって」

小さな化石、未来へのヒント
コン、と軽い音。
「あ!」
澪の手元から、小さな化石が現れた。
「すごいじゃん」
「ちっちゃいけど、
何千万年も前のだよ?」
澪は、誇らしそうだった。
蒼は思った。
自分の悩みも、
今は小さく見えなくても、
きっと意味がある。
友情の輪郭、少しだけ近づく
「ね、蒼は将来、何したいの?」
突然の質問。
「まだ、わかんない」
正直に答えた。
「でも、
今日みたいに、
誰かと一緒に考えられる場所にいたい」
澪は、少し驚いた顔をしてから、
優しく笑った。
体験がつなぐ、心と建築
福井県立恐竜博物館は、
体験を通して、
人と人の距離を縮める。
恐竜の化石に触れながら、
10代の友情も、静かに形を持ち始めていた。


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