五島リトリートray by 温故知新【宿泊記】第4話

近代建築物

なぜ、この宿は五島にあるべきなのか


翌朝、目が覚めたのはアラームより先だった。

カーテンの隙間から、薄い光。

いつもより朝がすがすがしい。

露天風呂に出る。

空は淡い水色。

海は、昨日より少し明るい青。

風が心地よい。

宿泊先で迎える朝は、やっぱりいい。

朝は建築物が正直に見える気がする。

素材の凹凸が見える。
影が柔らかい。

壁を見る。

木を見る。

色が均一じゃない。

コンクリートを見る。

小さな骨材が浮いている。

隠してない。

仕上げでごまかしていない。

素材で勝負している。

散策路を歩く。

森と海に挟まれる。

風景がすばらしい。

建物からの距離感もよい。

このスケール、40代にはちょうどいい。

歩いて疲れない距離がいい。

風の向きが、場所によって微妙に違う。

海からの風。
森からの風。

すぐ近くに自然を感じられる。

建物の向き。
開口の位置。
庇の出。

全部が、五島の環境を前提にしている。

この宿は、

島の地形

風向き

日射

眺望

これらがなかったら成立しない。

逆に言えば、
五島だから成立している建築だ。

最近は、どこに建てても成立する汎用リゾートが多い。

でも、この宿は違う。

ここにしか置けない。

贅沢。

派手な建築は、分かりやすい。

写真映えもする。

でも、飽きるのも早い。

この宿は、派手じゃない。

飽きない。

むしろ、時間が経つほど評価が上がるタイプ。

チェックアウトの時間が近づく。

めい想室で心がさらに落ちつく。

荷物をまとめていると、名残惜しい気持ちが増殖してしまう。

いい建築だった。

すごかったというより、よかった。

この差は大きい。

すごい建築は、記憶に残る。
よい建築は、心に残る。

外に出て、建物を振り返る。

相変わらず、控えめ。

風景の一部。


建築が好き

風景が好き

静かな時間が好き

そんな人には刺さる宿。

五島の土地と、
建築と、
人の距離感。

そのバランスが、とてもいい。

また来よう。

そう思わせてくれる建築に出会えるのは、そんなに多くない。

この宿は、その数少ないひとつ。

五島リトリートray by 温故知新

ありがとうございました。

素晴らしい経験になりました。

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