国立競技場 第3回|最後の直線

近代建築物

青春は、一瞬で永遠になる


アンカーの視界

バトンを受け取った瞬間、
世界が、スローモーションになる。

直線100m。
国立競技場のスタンドは、
自然と視線が中央に集まる構造になっている。

だから、
見られているじゃなく、
包まれている感覚があった。


走馬灯のような記憶

朝練のグラウンド。
雨の日のロードワーク。
誰かが落ち込めば、誰かが声をかけた。

「悠真!」

紗季の声。
確かに、聞こえた。

ゴールテープを切る。
足が、震える。


勝敗を超えた場所

結果は、2位。
優勝には、届かなかった。

でも、
誰も泣いていなかった。

「俺たち、ちゃんと走れたよな」

その一言が、すべてだった。


夜の国立競技場

夕暮れ。
ライトアップされた白いリングが、夜空に浮かぶ。

「昼と全然違うね」

紗季が、スマホで写真を撮る。

外周回廊は、
観光客やランナーが行き交う街の通路のようだった。


建築は、記憶を受け止める器

国立競技場は、
スポーツだけの場所じゃない。

建築を見に来る人。
散歩をする人。
思い出を重ねる人。

「また来よう。今度は、観光で」

その言葉に、僕は迷わずうなずいた。

青春は、いつか終わる。
でも、
それを走り抜けた場所は、残り続ける。

国立競技場は、今日も静かに、
次の物語を待っている。

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