五島リトリートray by 温故知新【宿泊記】第2話

近代建築物

客室という名の小さな建築作品


期待と共に部屋への入り口を開ける。

静か。

無音と大窓からの素晴らしい景色。

防音性能が高い、というより、
そもそも音が生まれにくい空間。

床が柔らかめで、足音が響かない。
天井も、反響しない。

これは落ち着く

玄関から中を見渡す。

壁が少ない。

ベッド、ソファ、テーブル。

全部、ひと続き。

ワンルーム構成。

設計、攻めてる。

下手すると、落ち着かない空間になる。
でも、この部屋は違う。

視線が止まらない。
でも、迷子にもならない。

家具の高さ、配置、奥行き。

全部が微妙にズレていて、
それが「居場所」をつくっている。

ベッドに腰掛ける。

目の前に海。

立ったときより、座ったときのほうがきれいに見える。

福江島の景色。素晴らしい。

視界がデザインされている。

設計者の意図に触れられたような気がする。

滞在者の姿勢まで考えられている。

露天風呂に出る。

段差がほぼない。

内と外がつながっている。

裸足が気持ち良い。

手すりはガラス。

視界を遮らない。

ずっといられる。

腰掛ける。

風が来る。

遠くで波の音。

何もしない。

何もしないのに、満たされる。

風呂の温度が絶妙。

年末の気温とのバランス。最高。

入浴 外気浴 入浴 外気浴 エンドレス。

部屋や露天風呂の素材を改めて見る。

木目は均一じゃない。
石もムラがある。

でも、それがいい。

工業製品の完璧さは、
ときどき緊張を生む。

この部屋は、緊張しない。

人が長く居る前提の建築。

この客室は、泊まるためだけの箱ではない。

五島の景色に身を置くための装置という感じ。

正直に言うと、行きたいところや見てみたいところを色々調べてきたが、
観光に出かける気が少し失せてきてしまった。

この部屋にいたい。

まだ初日。

でも、もう分かる。

この宿にはまたきっと来るのだろう。

年末以外の季節のこの宿の表情をみてみたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました